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イベントレポート

鹿児島大学発 社会実装を目指した最新技術ーミニブタの移植医療、抗体のエピトープ予測技術、新しい骨再生剤ーを開催(12/12)

2024年12月12日(木)、LINK-Jは鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンターとコラボレーションし、「鹿児島大学発 社会実装を目指した最新技術」を日本橋ライフサイエンスハブ、オンラインにて開催しました。

今回は、「ミニブタの移植医療、抗体のエピトープ予測技術、新しい骨再生剤」と題してプレゼンテーションと質疑応答、ネットワーキングタイムと3時間のイベントを行いました。

オープニング
鹿児島大学の先端研究と支援体制 ~大学の特色・強みのある研究を支援~
岸本 遧氏
鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター/副センター長
研究・産学地域連携ユニットリーダー/特任教授
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先ず、鹿児島大学 南九州・南西諸島域イノベーションセンターや先端研究集成館事業で行われる、研究成果を社会実装へとつなぐスタートアップ支援の状況についてお話頂きました。
その後、LINK-Jの挨拶を事務局長の高橋より行いました。

ご挨拶
高橋 俊一
LINK-J事務局長

続いて、鹿児島大学の最先端の研究成果、シーズの紹介を行いました。

クラウン系ミニブタを用いた移植・再生医療の最先端研究
佐原 寿史氏
鹿児島大学先端科学研究推進センター 生命科学動物実験ユニット/教授
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【講演要旨】
鹿児島大学先端科学研究推進センターは、動物実験施設の全面改修と高機能化を進め、小動物から大動物まで一貫して活用できる研究拠点の形成を目指している。本講演では、鹿児島大学の特色である大動物を用いた研究について、以下の3点を中心に紹介する。
1.鹿児島大学発の特色あるミニブタ(クラウン系ミニブタ)の開発と活用
2.ミニブタを用いた医学・薬学・農学など多分野にわたる研究事例
3.ブタをドナーとする異種移植の臨床応用を目指した最先端研究
これらの実例を通じて、新たなイノベーション創出や研究支援の可能性について論じたい。

第一原理計算に基づく抗原抗体相互作用の予測技術
石川 岳志氏
鹿児島大学大学院理工学研究科工学専攻/教授
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【講演要旨】
抗体医薬品の開発ではエピトープ(抗体の標的認識部位)の特定が重要である。エピトープの特定には、標的タンパク質の全ペプチドフラグメントと抗体の親和性を、網羅的に実験検証する「ペプチドスキャニング法」が用いられるが、対象となるベプチドが膨大であるため、多くの時間とコストを要する。もし何らかの方法でエピトープを予測し、実験対象のペプチドフラグメントを絞り込むことができれば、コストと時間を大幅に削減できる。エピトープを予測するためには、抗体と標的の複合体構造を予測することになるが、これはタンパク-タンパクドッキングという計算手法によって実現される。これまで多くのタンパク-タンパクドッキング法が提案されてきたが、その全てで何らかの経験的パラメータが使用されている。そのため、予測精度がパラメータに依存してしまうという問題が存在する。我々は近年、タンパク間相互作用を、第一原理計算によって解析するインシリコ技術「VIINEC」を開発した。さらにVIINECを利用することで、経験的パラメータを使用しない第一原理計算のみに基づくタンパク-タンパクドッキング法を世界で初めて実現した。本発表では、我々が開発したVIINECおよびタンパク-タンパクドッキング法について説明し、抗体医薬品開発への応用の可能性を提案する。

移植後に確実に骨を形成する新規骨再生剤の開発~全身のあらゆる骨再生治療への応用~
末廣 史雄氏
鹿児島大学病院 義歯インプラント科/講師
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【講演要旨】
 加齢や歯周病、外傷やがんの切除等の様々理由により歯は失われ、咀嚼障害・審美障害・発音障害等の問題、さらにはQOLの低下が引き起こされる。デンタルインプラントは歯を失った際の有効な治療法だが、骨量不足により骨再生を必要とする症例が多数存在する。既存の骨再生法として自家骨移植がゴールドスタンダードとされているが、骨採取部への大きな侵襲、術後疼痛や麻痺が残るリスク、採取量の制限等の課題がある。そのため、自家骨移植に代わる新たな骨再生法の開発が望まれている。
 我々は間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)と市販の骨補填材を組み合わせることで①低侵襲に実施可能、②広範囲の骨再生が可能、③自家骨を用いないことで使用量の制限がない、④操作性・賦形性に優れる、といった利点を持つ新規骨再生剤を開発した。また、本骨再生剤は歯科領域における骨再生のみならず、整形外科や形成外科、脳神経外科領域の骨再生にも応用が期待できる。

各講演後のQ&Aタイムでも多くの質問が寄せられ、テーマの関心の高さが伺えました。
講演中、答えきれなかったQAにつきましてはこちらを御覧ください。

講演後には登壇者と参加者との熱のあるネットワーキングが開催されました。 

参加者からは「鹿児島大学様の御研究内容や高度な技術内容をお教えくださいまして、誠にありがとうございます。」など鹿児島大学のシーズ実用化への支援の取組や、最新の研究内容について深く理解することができたといった声が多く寄せられました。

ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

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