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イベントレポート

「若手研究者のためのスタートアップによるキャリアフォーラムVol.2」(7/17)を開催

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2021年717 日(土)、オンラインにて「若手研究者のためのスタートアップによるキャリアフォーラムVol.2」を開催いたしました。(主催:LINK-J

本イベントは、スタートアップ企業と若手研究者が効率的に出会える場を提供することを目的としたキャリアイベントで、スタートアップ9社が登壇し、大学や研究機関に所属する博士やポスドクの方、更にはスタートアップへの転職を考えている企業所属の研究職の方を対象とした講演と個別セッションが行われました。

講演:宇佐美 篤 (LINK-Jサポーター/株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ 取締役・パートナー)

登壇企業:

アットドウス株式会社
エディットフォース株式会社
オリシロジェノミクス株式会社
株式会社キュライオ
セレイドセラピューティクス株式会社
Craif株式会社
株式会社MEDITA(旧名称:株式会社HERBIO
HiLung株式会社
ルカ・サイエンス株式会社


ライフサイエンス業界の現状とスタートアップの展望

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まずLINK-Jサポーターでもあり株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズの宇佐美氏にライフサイエンス業界のスタートアップの状況と研究者のキャリアパスの多様性についてご説明いただきいただきました。
宇佐美氏は大学院時代、実習で大学病院に配属された研究室でスタートアップの立ち上げに携わり、技術の社会実装を支える枠組みの不足を感じました。現在はベンチャーキャピタリストとしてスタートアップを支援している自身の経験から、VCの成り立ちや最新のライフサイエンス業界のスタートアップのトピックをご紹介いただきました。
国内の資金投資額は他の先進国の中では水準が低いものの、この10年でうなぎ登りに上昇していること、ゲノム編集などバイオ技術の最新のトピックのご紹介とともに今後10年間の見通しを述べられました。
ご自身が何気ない経験で人生が変わった経験から「このイベントが皆さんの人生を変えるきっかけになれば」と参加者にエールを送りました。

登壇企業9社によるスタートアップピッチ

個別セッションに入る前に登壇企業9社による10分間のスタートアップピッチを行いました。
各社事業内容やR&Dのテーマ、求める人物像について発表しました。

アットドウス株式会社
登壇者:中村 秀剛(代表取締役)

アットドウス社は「電気浸透流ポンプ」により超微量を直接患部に薬剤を投与するIoT投薬デバイスの開発製造販売を行っています。とくにがん患者にみられるような薬の副作用による身体の負担を軽減した治療の実現を目指しています。
現在はインドでの事業展開も進んでおり、常識に疑問を持ち自分たちの経験に基づいて行動する研究者を募集しています。

エディットフォース株式会社
登壇者:八木 祐介 (取締役, CTO, Co-founder)

エディットフォース社は九州大学発のバイオテクベンチャーです。CRISPR-Casシステムとは異なるRNA-PPR技術を用いて、難治性疾患に対する治療薬を製薬企業や大学などと共同で研究開発しています。求めるR&D分野の人材として、タンパク質工学やRNA-seq、細胞工学等の技術を持っている研究者を募集しています。
八木氏は「何より"技術(サイエンス)で何かひとつでも変えたい"という想いを持っている研究者と働きたいです」と述べました。

オリシロジェノミクス株式会社
登壇者:平崎 誠司(CEO)

オリシロジェノミクス社はセルフリー長鎖DNA合成技術を利用した製品・サービスの開発と実用化を行なっています。
2020年には国内・海外で研究試薬キットの発売を行い、今後は製造能力の増強や米国子会社の設立、新規事業の着手等さらなる拡大を目指しています。
既成概念に囚われない発想を持ち、失敗を恐れない人材を求めています。

株式会社キュライオ
登壇者:松原 裕一(経営推進部)

キュライオ社はクライオ電子顕微鏡単粒子解析法を使った構造解析をベースとした創薬(Structure-Based Drug Discovery)を目指したプラットフォーム型創薬企業です。企業やアカデミアと共同で進めるパートナリングモデルと自社創薬モデルの2軸で事業を展開しています。
主なポジションとして構造解析、創薬化学、薬理の研究者を募集しています。

セレイドセラピューティクス株式会社
登壇者:荒川 信行(代表取締役社長)

セレイドセラピューティクス社は202010月に創業したばかりの若い会社ですが、シードラウンドでの調達をすでに実行しており、研究開発メンバーを募集しています。ヒト造血幹細胞増幅技術を活用した次世代の再生医療等製品の開発を進めています。
求める研究者の主な分野としては、コアとなるヒト造血幹細胞(h-HSC)を社会実装するためのスケールアップや遺伝子編集関連の技術開発分野と大学等と連携し、臨床開発を進めていく分野となります。

Craif株式会社
登壇者:水沼 未雅(COO

Craif社は尿検査による「痛みのない高精度ながん早期発見」を目指して設立された名古屋大学工学部発ベンチャーです。酸化亜鉛ナノワイヤを用いた独自のデバイスを開発し、尿からエクソソームを高効率に捕捉できる技術によって、エクソソーム内のmiRNAの発現パターンを解析し、がんの早期診断技術開発を行います。
設立して3年が経ち、現在は30名程度とメンバーも増えてきました。出資はアメリカの企業からも何社か入っており、社員にも国際色豊かなメンバーが所属しています。

株式会社MEDITA(旧名称:株式会社HERBIO
登壇者:丸井 朱里(共同創業者 兼 研究開発責任者(CRO))

MEDITA社は直腸温(深部体温)と臍部周辺温度の相関性を確認し、自社開発中のウェアラブルデバイスで取得したデータを元に研究・解析を実施するほか、製薬会社や研究機関、企業に対する研究支援アプリケーションなどの開発を進めています。
現在理工系や医学系、情報系の研究職を募集しており、体温を主とする生体データビジネスで新しい価値を生み出し、共感できるメンバーを求めています。

HiLung株式会社
登壇者:山本 佑樹(取締役 事業開発責任者、研究開発責任者)

HiLung社はヒトiPS細胞分化誘導技術を中心とした「肺幹細胞生物学」に基づく新たなサイエンスに高度な解析ノウハウを組み合わせ、高い有効性が期待できる治療薬候補を実験室内で効率的に見つけ出すことで、呼吸器疾患の創薬プロセスの革新を目指しています。
起業して間もないため、大学の研究室の雰囲気が残っていますが、積極的に提案すれば自身の研究歴に応じた研究を進められる余地があります。細胞研究がベースになりますが、バイオインフォマティクスとの融合も重視しています。

ルカ・サイエンス株式会社
登壇者:Rick Tsai(取締役社長 CEO

ルカ・サイエンス社はミトコンドリア研究を基礎に医薬品の研究開発を行っています。ミトコンドリアは細胞のエネルギー供給源であり、代謝、サーカディアンリズム、マイクロバイオーム、免疫などを調整する統合的なハブとしての役割もあります。ミトコンドリアを抽出する技術により、新たな医薬品の開発を目指します。
生物学や細胞培養、遺伝子編集等を専門とする博士号レベルの研究者を募集しています。

全体での講演終了後50分間の個別セッションに進み、より詳しい企業の研究内容や求めている人材説明や参加者からの質疑応答をおこないました。
当日は大学生~若手研究者まで、80名以上の方にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
参加者からは、「いままで知らなかった企業の雰囲気や事業内容を聞けてとても為になった。 また、開催してほしい。」「自身の研究内容・キャリアを考える上で有益な視点を得ることができました。」といったご意見をいただきました。

LINK-Jでは今後も若手研究者と企業を結ぶキャリアフォーラムを計画しています。ぜひご参加ください。

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