Menu

イベントレポート

第20回 LINK-Jネットワーキング・ナイト「再生・細胞医療ベンチャー from イノベーションハブ京都」を開催(10/29 )

10月29日(月)、日本橋ライフサイエンスビルディング2階にて、第20回目となるLINK-Jネットワーキング・ナイト~再生・細胞医療ベンチャー from イノベーションハブ京都~を開催しました。
昨年9月に京都大学に開所したインキュベーター「イノベーションハブ京都」から、再生・細胞医療ベンチャー4社をお招きし、各社のご紹介と共に、今後の展望などについてご講演いただきました。

IMG_4072.JPG

【挨拶・紹介】
寺西 豊(京都大学医学研究科「医学領域」産学連携推進機構 特任教授)
【司会】
河野 修己(京都大学 イノベーションキャピタル株式会社 投資部 プリンシパル)
【講演】
城戸 常雄 氏(株式会社オリゴジェン代表取締役)
牧田 直大 氏(株式会社マイオリッジ代表取締役)
進 照夫 氏(株式会社aceRNA Technologies)
等 泰道 氏(サイアス株式会社 代表取締役)

IMG_4075.png

寺西 豊(京都大学医学研究科「医学領域」産学連携推進機構 特任教授)

最初に、京都大学医学研究科「医学領域」産学連携推進機構 特任教授の寺西氏より、同大学の医学研究科が運営する「イノベーションハブ京都」について、ご紹介いただきました。
同センターは、起業を考えている研究者や、スタート直後の企業が活用するための施設です。
現在、約二十社が入居して活動を始めています。インキュベーションコア・ラボでは、十分な資金や実験設備がなくとも、すぐに事業化に向けた実験に取り掛かることが可能で、地下の動物実験施設や大型機器の入った支援センターなども利用できることが紹介されました。


ヒト神経幹細胞"OligoGenie"を用いた再生医療製品の開発

IMG_4084.png

城戸 常雄 氏(株式会社オリゴジェン代表取締役)

城戸氏は、2004年に米国でStem Cell Medicine, LLCを創業し、脊髄損傷の再生医療製品を開発していた際に、新しいタイプのヒト神経幹細胞"OligoGenie(オリゴジーニー)"を発見しその大量培養方法を開発されました。2014年に日本で特許が成立した事もあり、2015年に帰国してオリゴジェン社を設立しました。
OligoGenieは、無血清下で分化させる、またはマウス脳に移植すると、オリゴデンドロサイトへは分化しますが神経やアストロサイトには分化しません。この特性を活かして、先天性大脳白質形成不全症や脊髄損傷患者への治療法としての製品化を目指しています。損傷を受けた脊髄では神経軸索の断裂や脱髄が起きており、OligoGenieを移植することで、切れた神経軸索が伸びるのを助けたり損傷した髄鞘を再形成したりする事により症状を改善します。現在、動物試験や臨床治験のための準備を進めており、2020年度中に先天性大脳白質形成不全症に対する臨床治験申請を行い、2022年の条件及び期限付き承認を目指しています。


iPS細胞由来心筋細胞の低コスト生産技術と事業化

IMG_4096.png

牧田 直大 氏(株式会社マイオリッジ代表取締役)

マイオリッジ社は、京都大学の末田伸一氏、南一成氏、牧田氏の三名で設立されました。2018年の6月に神戸にも拠点を追加し、現在19名で事業を進めています。iPS細胞由来の心筋細胞を生産し、創薬分野と再生医療の2分野への応用を目指しています。コア技術として、プロテインフリー心筋分化誘導、心筋大量生産技術、心筋細胞シート化技術の3つを軸とし、虚血性心疾患などの心疾患治療への技術革新や、薬剤の心筋副作用の検査などへの創薬応用が期待されています。
iPS細胞の増殖性によって1週間で心筋細胞を100倍に増やすことが可能です。通常であれば培養液のコストが莫大にかかるところを、化合物を用いたをプロテインフリー培地を用いた分化誘導法(特許取得技術)によって心筋細胞がつくれるため、培養液のコストを100分の1に抑えることに成功しました。


RNAスイッチを用いた細胞選別技術の事業展開

IMG_4099.JPG

進 照夫 氏(株式会社aceRNA Technologies)

株式会社aceRNA Technologies(アセルナテクノロジーズ)社は、「miRNAの新規機能の発現を通して、再生医療と新薬創出に貢献する」を理念とし、2018年4月に設立されました。進氏は、旧・藤沢薬品工業や新日本科学でのご経験から、タンパク質医薬品や中枢領域の薬理評価などを経験され、齊藤博英教授(京都大学 iPS細胞研究所副所長)の研究であるRNAスイッチの技術を基に、再生医療分野での製品化を目指しています。この技術を用いることで、細胞特異的に分化細胞集団を同定・選別することが可能です。セルソーター(機器)による細胞へのダメージを回避し、正確かつ抗体に依存しない選別方法が提供できます。2600種のRNAライブラリーの知財を活かし、プラットフォーム化を目指しています。


iPS細胞技術により「若返った」キラーT 細胞を用いた自家免疫療法の開発

IMG_4106.png

等 泰道 氏(サイアス株式会社 代表取締役)

サイアス社は京都大学iPS細胞研究所の金子新先生を中心に、T細胞分化に関する専門家など11名で事業を展開されています。がん患者の体内ではTリンパ球をはじめとする免疫細胞ががん細胞を認識していること、しかしながらそれらは「疲弊」した状態になっていることがわかっています。そこで、この腫瘍抗原特異的なキラーT細胞を単離、iPS細胞化し、そのiPS細胞を基に大量の若返った「疲弊」の無い再生キラーT細胞を作製します。その再生キラーT細胞を患者の体内に戻すことでがん治療を促します。サイアス療法は、抗PD1抗体やCAR-T療法と比較して、自己免疫疾患を起こしにくい、ゲノムの改変もしないなどの利点があり、かつT細胞が若く活性が高いこと、患者の免疫細胞からの拒絶を受けないことなどから、優れた安全性と有効性とが期待されています。今後は、2020年度末から臨床試験をする予定で進行しており、早期に患者へ届けたいと述べられました。

再生・細胞医療ベンチャーが京都で起業するメリット

IMG_4087.JPGのサムネイル画像

司会の河野修己氏(京都大学 イノベーションキャピタル株式会社 投資部 プリンシパル)

IMG_4111.JPG

パネルディスカッションの様子

質疑応答では、会場から「生産に関する工業化について」、「iPS化することで、細胞が若返るメカニズムは?」など各社の技術詳細に関して積極的な質問が挙げられました。
また、パネルディスカッションでは、河野氏から「京都でスタートアップをする利点について」、「知財の交渉について」をテーマに各登壇者からの意見が展開されました。

京都でスタートアップをすることの最大のメリットは、通勤時間の短縮やアクセスのしやすさ、iPS細胞研究所や京都大学の最新情報がすぐにキャッチできるなど、イノベーションハブ京都でのメリットを述べられていました。

講演後は10階コミュニケーションラウンジにて、ネットワーキングが行われました。当日参加者は約70名の方にご参加いただき、参加者からは、「再生、細胞医療ベンチャーの現状を聞けて役に立った」、「元気なスタートアップのプレゼンを聞けて刺激になった」、「1-2年後、さらに事業進展されたお話をまた聞きたい」などのご意見を頂きました。ご参加いただいた皆様、ご登壇頂いた皆様、ありがとうございました。

IMG_4129.JPG

Facebook で Share !
Twitter で Share !
pagetop