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イベントレポート

「次世代研究者が挑む再生医療の最前線 【第1回 iPS細胞】」を開催(7/29)

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2024年7月29日(木)、日本再生医療学会(U-45)とLINK-Jは「次世代研究者が挑む再生医療の最前線 【第1回 iPS細胞】」をハイブリッド形式にて開催しました。
当日は会場・オンライン合わせて460名の方にご参加頂きました。

主催:一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン、日本再生医療学会(U-45)

LINK-JのYouTubeチャンネルでアーカイブ動画を公開しています。

「未来志向で再生医療の最新研究を紹介」
LINK-Jでは日本再生医療学会(U-45)と共同で、再生医療の将来を担う研究者にスポットを当てる新しいイベントシリーズを開始いたします。 再生医療は、損傷した人体の細胞や機能を回復する次世代の治療であり、これまで根治が難しかった疾患を治療しうる技術として大きな期待を寄せられています。市場も急速に拡大しており、特に、細胞・遺伝子治療の市場に関しては、2030年まで年率30%以上の成長率で拡大することを見込まれるなど、成長著しい分野です。

記念すべき第1回はiPS細胞をテーマに、再生医療研究の最前線を牽引する3名の先生方にご登壇を頂き、口腔乾燥症の再生医療開発、心臓再生医療、次世代リプログラミング因子の開発について、最新のトピックをご発表頂きました。

開会挨拶
高橋 俊一(LINK-J 事務局長)

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開会挨拶
堀田 秋津 氏(京都大学iPS細胞研究所 准教授)

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【座長】
右:馬渕 洋 氏(藤田医科大学・医学部・臨床再生医学講座・准教授)
左: 山崎 聡 氏(東京大学医科学研究所 教授)

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講演「口腔乾燥症の再生医療開発に向けた多能性幹細胞由来唾液腺の作出」
田中 準一 氏(昭和大学歯学部 口腔病理学部門 准教授)

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■講演要旨■
口腔癌の放射線治療後の副作用やシェーグレン症候群による唾液腺組織破壊は重篤な口腔乾燥症を引き起こす。現在の治療法としては人工唾液や副交感神経刺激薬の投与が行われているが、唾液腺組織の破壊が高度な症例ではその効果は限定的である。我々の研究グループは破壊された唾液腺実質の再生を目指し、その細胞ソースとしてヒトiPS細胞から唾液腺オルガノイドを誘導した。誘導した唾液腺オルガノイドはヒト胎児唾液腺に類似した性質を持ち、唾液腺切除部位への移植によって機能的な唾液腺を再生することができた。本講演では我々が目指す唾液腺再生医療法の開発に向けた現在の取り組みと、唾液腺オルガノイドの応用可能性についても議論したい。

講演「ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療:基礎から応用へ」
遠山 周吾 氏(藤田医科大学東京 先端医療研究センター 准教授)
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■講演要旨■
ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療は、心臓移植の代替治療として注目を集めているが、分化後に未分化幹細胞が混入し腫瘍化を引き起こすリスクを抱えているため、安全性の高い心筋細胞を効率よく作製する手法の確立が求められていた。そこで、我々はヒトiPS細胞および分化心筋細胞における代謝プロファイルの差異を明らかにすることにより、ヒトiPS細胞から安価かつ簡便に心室筋細胞を選別する方法を確立することに成功した (Cell Stem Cell 2013, Cell Metabolism 2016, iScience 2020)。 また、トリプトファン強化培地によるヒトiPS細胞の増殖促進法 (iScience 2021)、多層培養器を用いた2次元大量培養法 (Stem Cell Reports 2017)、培養上清中miRNAを用いた品質管理法(Stem Cell Reports 2023)、高効率心筋組織球作製法を構築してきた (Nature methods 2010, J Heart Lung Transplant 2019, Cell Reports Methods 2023)。小動物に加えてブタおよびサルを用いた非臨床試験において安全性および有効性を確認しており(J Am Coll Cardiol BTS 2021, Circulation 2024)、企業治験として虚血性心筋症患者に対する細胞移植治療を進めている。
本講演では、ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療の現状と展望について紹介する。

講演「次世代リプログラミング因子の開発」
林 洋平 氏(理化学研究所バイオリソース研究センター iPS細胞高次特性解析開発チーム)
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■講演要旨■
「リプログラミング(初期化)」は、転写因子などのリプログラミング因子を異所的に発現させることで、体細胞を他の望ましい種類の細胞に変える技術です。iPS細胞の開発に代表されるように、生命科学、創薬、再生医療の革新的技術として発展してきました。リプログラミングの効率や質を改善するために、過去の多くの研究では、新規・代替・追加因子の探索、エピジェネティックな状態を変える因子の探索、培養条件、因子の導入方法の改善などに焦点が当てられてきました。しかし、現在の技術では、体細胞からの直接的なリプログラミングにおいて高品質なiPS細胞の収量が少ないという課題があります。私たちは、リプログラミング因子自体の改変を行い、従来の天然型タンパク質よりも優れたリプログラミング能を持つ「次世代リプログラミング因子」を開発しています。その延長線上では、より効率よく高品質のiPS細胞を容易に作製できることから、患者自身から作ったiPS細胞(My iPS細胞)を用いた自家移植医療の実現に貢献すると期待されます。

イベント後のネットワーキングは非常に盛り上がりました。 皆様、登壇者をはじめとした多くの方とお話をされており、活発なネットワーキングが行われました。

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参加頂いた皆様からは「濃密な内容を分かり易く説明頂き、再生医療の最前線をキャッチできました。」「先生方の熱意溢れるご講演が大変勉強になりました。」「最新のiPS研究について、基礎的な部分から社会実装につながる応用のお話まで幅広く伺うことができて非常に勉強になりました。」と多くの感想が寄せられました。

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ご視聴・ご参加、誠にありがとうございました。

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