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イベントレポート

「L x T bridge ライフサイエンスxデジタルハリウッド~人のつながりで革新を Vol.2 デジタルハリウッドからみたライフサイエンス」を開催(8/5)

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L x T bridgeシリーズの第2回目は、デジタルハリウッドとのコラボレーション企画として、デジタルハリウッド大学大学院「デジタルヘルスラボ」による医療の課題解決アプローチについて紹介いたしました。(主催:LINK-J、協力:厚生労働省)

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デジタルハリウッド大学大学院客員教授で眼科専門医、アイリス株式会社取締役副社長CSOの加藤浩晃氏がモデレーターとして加わり、精鋭の卒業生3名のショートプレゼンを中心に、登壇者全員での座談会、グループワーク、ネットワーキングを行いました。

本イベントは、Life scienceとTechnologyの各担い手である、エンジニア、科学者、医師、事業家等の交流・相互理解を目的としたイベントとして、お互いの情報交換や交流によって、新たなイノベーション創造へのきっかけづくりを目指すために行われています。

【登壇者】
中山俊氏(アンター株式会社代表取締役社長)
守矢奈央氏(デジタルハリウッド大学大学院研究員/デザイナー)
木野瀬友人氏(デジタルハリウッド大学大学院研究員)
【モデレーター】
加藤浩晃氏(デジタルハリウッド大学大学院客員教授、眼科専門医、アイリス株式会社取締役副社長CSO)
本荘修二氏(本荘事務所代表、厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会議座長)
曽山明彦(LINK-J理事兼事務局長、厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会議構成員)

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冒頭には、モデレーターの本荘氏、曽山氏よりイベント趣旨についてご説明いただいた後、参加者の厚生労働省の方から、医療系ベンチャー支援への取り組みについて概要をご説明頂きました。

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加藤氏からは、今年で4期目となるデジタルハリウッド大学院の「デジタルヘルスラボ」について概要をご説明頂きました。デジタルハリウッドは、3DCG、グラフィックデザイン、WEB、ゲーム、プログラミングなどを得意分野とする学校です。医療×テクノロジーをテーマに、4年前に創設された「デジタルヘルスラボ」は学生が24名となり、そのうち15名が、医科や歯科を含めた医療従事者となっています。このラボの創設によって、卒業生らが起業し、資金調達の成功やコンテストでの入賞など、飛躍的な活躍をしていることをご紹介頂きました。加藤氏は、デジタルヘルスによる医療の課題解決が、医療の向上に必要であるとし、医学的解決だけでなく患者を含めた行動変容など、社会的解決のアプローチも必要だと述べられました。

医師同士のオンライン相談Antaa
中山氏は、大学卒業後に整形外科に医師として勤務の傍ら、2016年にアンター株式会社を創業されました。医師がオンラインで相互に助け合う、実名制の医師同士の相談サービス『Antaa』を構築されています。

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このアプリはQ&A機能のほか、医師の持つ情報の共有や、発表資料のライブラリ化による学習機能などがあり、このサービスにより現在4000人のコミュニティが形成されています。中山氏は、「近年の救急患者の増加により、医師同士の連携がより一層求められていく中で、このサービスが医療体制の整備をサポートすることができる」、「医師一人で患者を診ている世界から、皆でサポートしながら患者を診ていくことで、医療の空白時間をつくらないようにしていきたい」と語られました。

多汗症患者さんにも優しいライフスタイルブランド
今年の3月にデジタルヘルスラボを卒業された守矢氏は、自らが重度の掌蹠多汗症患者であることから、患者にも優しいライフスタイルブランド『athe』を創られました。その発汗量は、「PCやスマホも水没させることができるほど」だといいます。

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既存製品では、重症患者にとって吸水性が乏しいため、吸水・速乾・防菌・防臭に優れた素材を探したところ、イグサと類似した多孔質素材となる構造を持った繊維を見つけられました。衣類用に改良を加え、今後、ソックスをはじめとするウェアを販売予定です。患者とのコミュニティイベント、患者会の形成、製品開発によって、『athe』ブランドの形成を進めていきたい、と意欲を述べられました。

VRを用いた簡易緑内障発見ツール
株式会社ニワンゴの創業メンバーでありエンジニアの木野瀬氏は、3年間に渡り「ヘルスケアハッカソン」の運営を経たことが、ヘルスケアや医療分野に参入するきっかけになりました。現在は、「緑内障」の発見ツールの開発に取り組まれています。緑内障の治療方法は、現在のところ点眼薬など限られたもので、一度失った視力を取り戻すことができません。そこで、早期発見の新たなツールとして、VRを用いた「ViewR」を開発されました。

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これは、スマートフォンとVRゴーグルを装着し、コントローラーによってゲームをプレイすることで緑内障の視力検査を行える製品です。
キャラクターが見えたらボタンを押すことで、見えていない部分を判定することができ、緑内障のチェックを行えます。臨床で使われるハンフリー視野計と比較し、1眼あたり1分で検査できるため、「スクリーニングする上では十分使えるもの」と紹介されました。埼玉県戸田市の健康福祉まつりで展示を行ったところ、「高齢者にとっても直感的に使ってもらうことができ、体験者150人中3名の視野欠損を発見した」と解説されました。今後はクリニック向けの導入からエンターテイメント業界へも進出していきたいと述べられました。

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講演後は、座談会では、加藤氏を中心として、登壇者三名を交えた、デジタルヘルスラボの特徴や取り組みについてお話し頂きました。
「デジハリの2年間を使ってヘルスケア製品を実装するという枠組みが生まれている」「アウトプットを出すために、まずはやってみてから考えようという文化になっている」「仕事を持ちながら通っている人が多いため、様々なバックグラウンドの人が集まり、多種多様な中で、異分野とのコラボレーションが生まれている」などのご意見を頂きました。
「医療のど真ん中に参入することへの抵抗などはありますか?」といった質問に対しては、「医療機器や承認の障壁があるからやらないということではなく、やりたいこと、やるべきことは何かといった観点で取り組んでもらっている」とし、
参加者の中からも、デジハリの新たな取り組みに興味関心を持たれた方が多くみられ、具体的な質問が登壇者に投げかけられました。

その後、恒例となっている、各参加者グループでの自己紹介タイムが行われ、参加者同士の積極的なコミュニケーションの場が展開されました。

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最後に、隣の部屋にて懇親会が行われました。当日は民間企業、大学関係者など幅広い層の方から、23名の方にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。参加者からは「一番楽しかった」「また次も来たい」などの意見をいただき、大変盛況な会となりました。
次回のL&Tブリッジのイベントにも是非ご参加ください。

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