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イベントレポート

「LINK-J & UC San Diego Joint Webinar Series #6 "再生医療と計算神経科学における最新の展望" Session 3」を開催(4/22)

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2021年4月22日(木)、オンラインにて「LINK-J & UC San Diego Joint Webinar Series #6 "再生医療と計算神経科学における最新の展望" Session 3」を開催いたしました(主催:LINK-J、共催:UC San Diego)。

今回はLINK-J & UC San Diegoジョイントウェビナーシリーズの第6回目となり、UC San DiegoのMark Tuszynski先生と慶應義塾大学の牛場潤一先生より、脊髄損傷に対する幹細胞治療と、脳卒中後のリハビリに向けたブレイン・マシン・インターフェイスの新展開についてお話しいただきました。
また、Andrew McCulloch先生(Distinguished Professor of Bioengineering and Medicine; Director, Institute of Engineering in Medicine, UC San Diego)と岡野栄之先生(慶應義塾大学大学院医学研究科 委員長/慶應義塾大学医学部生理学教室 教授/LINK-J理事長)がモデレーターとなり、ディスカッションを行いました。

本ウェビナーの録画は下記よりご視聴いただけます。
なお、一部公開されていない講演がございますこと、一定期間経過後に非公開に変更させていただく可能性がございますことを予めご了承ください。
https://www.youtube.com/c/LINKJ
ぜひYouTubeチャンネルへのご登録もお願いいたします。

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冒頭、曽山明彦(LINK-J常務理事)、和賀三和子氏(UC San Diego国際アウトリーチディレクター)、Andrew McCulloch先生、岡野栄之先生より挨拶いたしました。

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"Stem Cell Therapy for Spinal Cord Injury"
Prof. Mark Tuszynski(Director, UCSD Translational Neurosciences Institute; Distinguished Professor of Neurosciences, UC San Diego)

脊髄損傷に対する幹細胞治療の可能性と、臨床応用への取り組みについてお話しいただきました。
米国では年間約15,000件の新たな脊髄損傷が発生し、50万人の人々が慢性的な脊髄損傷を抱えて生活しています。脊髄損傷は人生における早い時期に発症することが多く、損傷部位以下の機能を完全に失ってしまいますが、損傷した脊髄を修復する治療法はありません。Tuszynski先生は従来脊髄が再生しなかった理由を説明し、以前から脊髄損傷の問題に取り組んできたことをお話しされました。神経幹細胞研究を始める前の20年間の研究成果と神経幹細胞を用いた研究成果を比較され、神経幹細胞を用いることの有用性を強調しました。さらに、バイオエンジニアリングによるスキャフォルドと神経幹細胞を組み合わせて利用する可能性と、これらの成果をヒトにおける臨床試験につなげる活動についても紹介されました。
講演の詳細はアーカイブをご覧ください。

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"Brain-Machine interaction facilitates neural reorganization in post-stroke brains"
牛場 潤一 先生(慶應義塾大学理工学部生命情報学科 准教授)

今回の講演では、以下の観点から、基礎研究から臨床試験に至る最近のご研究を紹介されました。また、大学発ベンチャーの活動についてもお話しいただきました。
計算神経科学においては、神経系の発達、構造、機能、および可塑性の原理を理解するために、脳の数学的モデル、理論的解析、および抽象化の手法をとります。生理学/生物学では、神経系の標準的な細胞や回路モジュールについての知識が得られますが、計算神経科学ではそれらをシステムとして組み立てる方法を知ることができます。健康と病気の全体像を把握するためには、脳のシステムの理解が重要であり、脳のシステムを計算的に記述することで、脳と人工物を共生体として融合させることも可能になります。
神経系を人工的なシステムに組み込み、"Brain-AI loop"を作ることができれば、AIが脳内のシグナル伝達をリアルタイムに読み取ることにより、ユーザーはロボットアームや、尻尾を模したアクチュエータ、アバターやバーチャル上の自分を操作することができます。このようなシステムがあれば、身体的・精神的に障害のある人々は苦痛から解放され、社会生活支援に役立ちます。さらに、"Brain-AI loop"により脳機能の再編成を誘導することも可能です。脳には、大規模な脳構造の損傷を受けても、機能的な神経回路を再構築する大きな能力があるため、内因性神経活動に関連したAIによる感覚フィードバックにより、医学的に適切な機能回復が行われます。

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講演の後には活発なパネルディスカッションが行われました。
今後もUC San Diegoとの共催ウェビナーを継続的に開催する予定です。
皆様ぜひご参加ください。

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