来る11月21日(金)に株式会社東レリサーチセンターは「先端分析技術シンポジウム 2025」を開催します。
当社は、1978年の創業以来、常に新しい分析技術を開発・導入し、“分析の極限追求”をキーワードに、分析の高度化に取り組んでまいりました。2022年に設立した「先端分析プラットフォーム」をオープンイノベーション拠点として、分析技術の発展をより一層推進してまいります。
本シンポジウムでは、「先端分析が切り拓く新たな科学」をテーマに、注目される学術・技術分野の第一線でご活躍の先生からご講演を賜ります。
本年は、東京大学の平本俊郎(ひらもと・としろう)先生(東京大学生産技術研究所 教授)を特別講師としてお招きし、最新の研究成果についてご講演いただきます。平本俊郎先生は、高度情報化社会とカーボンニュートラルの実現に向けて、シリコンCMOSデバイスの性能限界に迫る先端的な研究を通じて、シリコン半導体技術の革新に精力的に取り組まれています。
また、当社の技術開発において、この一年で目覚ましい成果をあげた4件の最新 “先端分析技術” について、ご紹介させていただきます。
是非、多くの皆様にご参加いただきますようお願いいたします。
*同業他社関係者の皆様にはご参加をご遠慮いただいており、お申し込みいただいても配信URLをご連絡いたしかねる場合がございます。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
◆講演内容:
<招待講演> 先端ロジック半導体の技術動向:デバイスの微細化と構造進化
東京大学生産技術研究所
教授 平本俊郎先生
先端ロジック半導体の進展は目覚ましく,生成AIをはじめとする現代のIT社会を技術面で先導している.本講演では,まず,目まぐるしく変化する世界と我が国における半導体の情勢を概観する.用途別の牽引役はスマホからAIに主役交代し,一方,NVIDIAの台頭により主要プレーヤーの世界地図が書き換わりつつある.さらに,ロジックデバイス微細化の現在までのトレンドを俯瞰するとともに,FinFETからゲートオールアラウンド(GAA),CFETへと構造が進化するデバイス構造変化の潮流を詳説する.鍵を握るのは3D化技術であり,克服すべき最大の課題は熱であろう.これらの技術動向と将来への方向性等をデータを交えながら概説することにより,先端ロジック半導体の将来を展望する.
<基調講演>「東レリサーチセンターの先端分析への挑戦」
東レリサーチセンター 研究部門長 村木 直樹
東レリサーチセンターは、最新かつ最高性能の設備を備え、常に最高レベルの技術力を追求することで、お客様の多様なニーズに応える努力を続けている。本講演では、当社の先端分析への取り組み、最新の分析技術の動向、そして目指すべき未来について紹介する。
<講演1> 上方照射型AFM-IRによる工業材料のナノ分解能高次構造解析
東レリサーチセンター 構造化学研究部 長坂 龍洋
AFM-IRは,ナノメートルスケールでの化学構造解析を可能にする先進的な分析手法である.東レリサーチセンターでは,AFM-IR技術において12年以上の運用実績を有しており,豊富なノウハウと高度な前処理・解析技術を蓄積している.このたび,国内の分析会社として初めて,空間分解能30ナノメートルを達成する最先端の上方照射型AFM-IR装置を導入した.本講演では,AFM-IR技術の有用性と今後の展望について,ポリマーアロイにおける相分離構造の可視化や,複合材料の高次構造解析の事例を紹介する.
<講演2> レーザー角度分解光電子分光法を用いたSi反転層中の電子状態の高分解能測定
東レリサーチセンター 表面科学研究部 坂田 智裕
光電子分光法は,汎用性の高い元素定量・化学状態の分析法である一方,入射する光の種類や光電子の計測方法を変えることで,詳細な電子状態評価が可能である.近年では,高輝度なレーザーを入射光とした光電子分光法の確立によって,時間分解・偏光依存光電子分光法が可能となり,非占有電子状態やバンド分散の構成軌道に関する情報まで取得が可能になった.本講演では,最新のレーザー角度分解光電子分光法を用いて解明したMOSFET動作におけるデバイス性能を決める重要な指標となるSi反転層中の電子状態であるSiのバンド分散の分裂メカニズムを紹介する.
<講演3> 透過電子顕微鏡で行うナノオーダーのスペクトル解析の深化
東レリサーチセンター 形態科学研究部 川崎 直彦
ナノオーダーの空間分解能で,結晶構造や元素組成だけでなく,物性に直結するような情報を得るために,透過電子顕微鏡で行うスペクトル解析の手法を深化させた.low-loss EELSは,電子のエネルギー状態に関する情報が含まれるが,プラズモンの影響が重なるために解釈が難しい場合が多い.本講演では,プラズモンを積極的に利用して,金属の局所的な導電性について考察した事例を紹介する.STEM-CLは,最近,赤外領域まで検出できる実験系を構築し,微小部のバンドギャップや欠陥の情報を得られるようになったが,薄片試料を用いることに由来するアーティファクトがスペクトルに重複する問題がある.このアーティファクトの由来を理解した上で,バンドギャップや欠陥からの情報のみを抽出した事例を紹介する.
<講演4> SIMS-OES/CLを活用した新規分析手法の開発
東レリサーチセンター 表面科学研究部 宮本 隆志
SIMS分析におけるイオン照射時の発光を利用するSIMS-OES法は,二次イオン検出と同一領域での光学情報取得を可能にし,SIMSに新たな物理的視点を導入する手法である.本講演では,発光強度解析による局所温度推定の試みを紹介し,イオン照射条件と試料応答の関係を探った事例を紹介する.また,全組成分析に向けた窒素検出の検討や,SIMS-CLを用いた深さ方向構造解析の取り組みにも触れる.これらを統合することで,組成・不純物・構造を同時に評価する多次元解析の可能性を示し,将来的には二次イオン生成過程の理解を通じたSIMSの高感度化や低損傷化に資することを目指している.
<略語説明>
FinFET:Fin Field-Effect Transistor
CFET:Complementary Field-Effect Transistor
AFM-IR:Atomic Force Microscopy-Infrared Spectroscopy
MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor
EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy
STEM:Scanning Transmission Electron Microscope
SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry
CL:Cathodoluminescence
OES:Optical Emission Spectroscopy
*同業他社関係者の皆様にはご参加をご遠慮いただいており、お申し込みいただいても配信URLをご連絡いたしかねる場合がございます。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
プログラム
・13:30 - 13:35 開会のご挨拶
・13:35 - 13:50 基調講演
・13:50 - 14:50 招待講演 「先端ロジック半導体の技術動向:デバイスの微細化と構造進化」
・14:50 - 15:05 講演1「上方照射型AFM-IRによる工業材料のナノ分解能高次構造解析」
・15:05 - 15:15 休憩
・15:15 - 15:30 講演2「レーザー角度分解光電子分光法を用いたSi反転層中の電子状態の高分解能測定」
・15:30 - 15:45 講演3「透過電子顕微鏡で行うナノオーダーのスペクトル解析の深化」
・15:45 - 16:00 講演4「SIMS-OES/CLを活用した新規分析手法の開発」
・16:00 - 16:05 閉会のご挨拶
参加費
無料
主催
主催:株式会社東レリサーチセンター
お問い合わせ先
株式会社東レリサーチセンター
〒103-0023
東京都中央区日本橋本町一丁目7番2号 KDX江戸橋ビル6F
(03)3245-5666(ライフサイエンス営業部、営業企画部)