2025年1月21日(火)オンラインにて「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区推進セミナー『再生医療の実用化に向けて』~医療の未来を切り開く 再生・細胞医療領域の最前線~」を開催いたしました。(主催:神奈川県、横浜市、川崎市(京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区地域協議会)、共催:LINK-J)
LINK-JのYouTubeチャンネルでアーカイブ動画を公開しています。是非ご覧ください。
本イベントは、再生医療の実用化に焦点を当て、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の区域内において再生医療・細胞医療の研究や事業化の課題・成果の共有だけでなく、参加する皆さまの知見を深めることを目的としたイベントで、製薬企業や医療機器メーカー、大学の研究者の方など、380名の方にお申込みをいただきました。
【登壇者】
嶋村 敏孝 氏(川崎市 臨海部国際戦略本部 成長戦略推進部 キングスカイフロントマネジメントセンター 所長)
モデレーター宮田 満 氏(株式会社宮田総研 代表取締役)
佐藤 卓也 氏(横浜市立大学 医学部医学科臓器再生医学 講師)
村本 拓也 氏(Minaris Regenerative Medicine 株式会社 COO)
團野 宏樹 氏(株式会社ナレッジパレット CEO)
安田 智 氏(国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 部長)
萩原 純也 氏(内閣府地方創生推進事務局)
高橋 俊一 (LINK-J事務局長)
まずはじめに川崎市より開会のご挨拶、そして共催者であるLINK-Jからも「国内外の取組」と題してLINK-Jの取組を紹介いたしました。
開会のご挨拶
嶋村 敏孝 氏(川崎市 臨海部国際戦略本部 成長戦略推進部 キングスカイフロントマネジメントセンター 所長)

国内外連携の取組
高橋 俊一 (LINK-J 事務局長)

続いて、三氏より講演を行いました。
講演「精巣オルガノイドと体外精子形成法の開発による生殖再生医療の可能性」
佐藤 卓也 氏(横浜市立大学 医学部医学科臓器再生医学 講師)

男性不妊における病態や根本的な治療は進んでいません。その原因の一つに精子がどのように形成されるのかが解明されていないことがあります。講演ではマウスを用いた体外での精子形成の全過程の再現の概要や評価方法、そして精巣オルガノイドの取組についてお話頂きました。
講演「再生医療の実用化を拓くCDMOの役割」
村本 拓也 氏(Minaris Regenerative Medicine 株式会社 COO)

村本様は再生医療業界全体の成長状況についてお話頂いたのち、現状の課題と解決策についてお話いただきました。現在、いかに利益が出る商品や大きな市場に出す製品を生み出すかというフェーズに入る中で、法整備や品質確保、人材運用に向けての課題があり、その課題解決のためのCDMOの役割をご説明いただきました。
「 遺伝子発現プロファイリングによる細胞品質管理と培養制御」
團野 宏樹 氏(株式会社ナレッジパレット CEO)

生命システムの全体像を捉えるための技術として全遺伝子プロファイル技術(トランスクリプトーム解析)は、2000年以降多様な進化を遂げています。ナレッジパレット社ではその技術の中でも4つの技術プラットフォーム(シングルセル解析、大規模バルク解析、細胞制御技術、Quartz AI)を有しており、遺伝子発現プロファイリングによる細胞品質管理と細胞制御を行っています。講演では技術紹介も含め技術がどのような課題の解決に役立つのかも含め、具体的にお話いただきました。
「再生医療等製品の品質評価において取り組むべき課題」
安田 智 氏(国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 部長)
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レギュラトリーサイエンスの観点から再生医療等製品(細胞加工製品)の特徴、評価方法の課題について特に品質に焦点を当てながら、実例を交えてお話いただきました。
パネルディスカッションの前には、総合特区についてのご説明、制度の利活用につきお話いただきました。
総合特区の説明
萩原 純也 氏(内閣府地方創生推進事務局)

総合特区の成り立ちや現状、特区で利用可能な制度につき制度や特別措置についてご説明をいただきました。国の経済成長のエンジンとなる産業・機能の集積拠点の形成を目的として作られている「国際戦略総合特区」は全国に6カ所あり、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区はその一つとなります。これらの特区は財政、金融上の支援措置がとられるだけでなく、事業を行う際に一定の条件を満たすとその事業者にも税制上の支援措置が行われます。
その後モデレーターに宮田 満 氏を迎えて講演者によるパネルディスカッションを行いました。
モデレーター・講演者によるパネルディスカッション

参加者より10以上の興味深い質問が寄せられ、登壇者・参加者共に再生医療の実用化に向けた現状の把握の深堀や、課題の共有を行うことができました。
アンケートからは、今回のイベントを通して「最新の解析技術はじめ課題・検討・探索・提案と多くの学ぶ点がありました。」とする感想や、「研究の細部から製品としての有効性・安全性、経済的・社会的観点の話にも触れていて、とても幅広く議論されているかと思います」といった理解の深まりを示す声が多く寄せられました。
ご参加の皆様、ご登壇の皆様、誠にありがとうございました。参加者の皆様からのご好評につき、Youtubeにて今回のオンラインセミナーを公開しております。ぜひご覧ください。
LINK-Jは今後も各自治体と連携して、ライフサイエンス分野のエコシステムの構築に向けてイベントを実施していく予定です。