Menu

イベントレポート

LINK-J & UC サンディエゴ 特別ウェビナー「カリフォルニア大学創薬コンソーシアム(UC DDC)のご紹介~その使命と産学連携について」を開催(6/10)

  • twitter
  • Facebook
  • LINE

2021年6月10日(木)、オンラインにて、米国サンディエゴと東京を結び「LINK-J & UC サンディエゴ 特別ウェビナー「カリフォルニア大学創薬コンソーシアム(UC DDC)のご紹介~その使命と産学連携について」」を開催いたしました。(主催:LINK-J)

今回の特別ウェビナーでは、UCサンディエゴのキャンパスリードを務めるMichael Gilson教授が、カリフォルニア大学の研究者に資金と指導を提供し、未解決の医療ニーズに応える医薬品の開発を推進するというコンソーシアムの使命を説明し、産学連携確立の重要性についてご講演いただきました。
その後、UCLA、UCリバーサイド、UCバークレーのキャンパスリードを務める教授らに最新の創薬関連研究の事例をご紹介いただきました。

(※画像をクリックすると動画がご覧いただけます)

【登壇者】
Dr. Michael Gilson, MD, PhD, Professor and Chair in Computer-Aided Drug Design, Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, UC San Diego, and co-director of UC San Diego's Center for Drug Discovery Innovation
Dr. Robert Damoiseaux, PhD, Professor in the Department of Molecular and Medical Pharmacology, UCLA
Dr. Maurizio Pellecchia, PhD, Professor of Biomedical Sciences at the School of Medicine of the University of California Riverside (UCR)
Dr. Julia Schaletzky, PhD, Founder of the UCB Drug Discovery Center, the Executive Director of the Center for Emerging and Neglected Diseases, as well as of the Immunotherapy and Vaccine Research Initiative at UC Berkeley

akimiwa.pngのサムネイル画像 miwako.pngのサムネイル画像

冒頭、曽山明彦(LINK-J常務理事)、和賀三和子氏(UC San Diego国際アウトリーチディレクター)より挨拶いたしました。

gilsonpng.png

UC DDCの概要のご紹介
Dr. Michael Gilson, MD, PhD, Professor and Chair in Computer-Aided Drug Design, Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, UC San Diego, and co-director of UC San Diego's Center for Drug Discovery Innovation

UCサンディエゴのキャンパスリードを務めるMichael Gilson先生より、UC DDCの概要についてご講演いただきました。
UC DDCのミッションは、「バイオメディカルの研究とカリフォルニア大学が持つ実用化への強みを活用し、人々の命を救う救命治療の開発・発展を加速させ、創薬を実際の治療と結びつけること。さらには、カリフォルニア州の経済を刺激し、21世紀で最も喫緊の健康上の課題を解決することである」とご紹介いただきました。
続いて、カリフォルニア大学との産学連携で得られるメリットとして、以下の点に触れられました。
・最新イノベーションに対する早期のアクセス権があること。
・カリフォルニア大学全体のシステムへのアクセス権があるため、カリフォルニア大学が有するあらゆる資源の利活用が可能であり、数千の研究者との更なる連携やパートナーシップの機会を得ることが可能。
・産業界とのパートナーシップを促進するため、スポンサー契約では事前に交渉された条件が整備されていて、煩雑な手続きを踏まなくて良い。
・UC DDCとのパートナーシップに関して、コンシェルジュサービスを提供。
続いてUC DDCの歴史についてご説明頂いた後に、カリフォルニア大学全体の特許数、大学発のスタートアップ数において、アメリカの他の有名大学と比較して、類を見ない数字であるということについてご説明いただきました。
最後に、UC DDCはオープンで、産業界との連携を重要視しており、日本の産業界のパートナーとの協業をしたいと考えているのでぜひウェビナー後もコミュニケーションを取っていきたいとのことです。UC DDCのHP(https://www.ucdrugdiscovery.org/contact)にある各キャンパスリードの連絡先をご提示いただき、講演は終えられました。

robert.png

"Building a Drug Discovery and Development Pipeline at UCLA"
Dr. Robert Damoiseaux, PhD, Professor in the Department of Molecular and Medical Pharmacology, UCLA

UCLAのキャンパスリードを務める、Robert Damoiseaux先生より、UCLAのナノシステム研究所内にあるMSSR(Molecular Screening Shared Resource)で実施している、ハイスループットスクリーニング(HTS)について、また研究内容についてご講演いただきました。
ハイスループットスクリーニングとは、新薬の候補となる膨大な数の化合物から,有用なものを迅速に高効率で選別する技術です。
ハイスループットスクリーニングでは当初は細胞を対象としたスクリーニングをしていましたが、現在ではヒトゲノムや機能ゲノミクスなど複雑な対象においても利用がされている点についてご紹介いただきました。
続いて、ご自身の研究内容について事例を交えてお話しいただきました。
がんは細胞分裂により、がん細胞が増殖、身体中に転移していきますが、その細胞分裂を阻害するため、アポトーシス(細胞死)を引き起こさせるタキソールなどの有糸分裂阻害剤など、抗がん剤の創薬に関する研究内容についてご紹介いただき、ご講演を終えられました。

mauri.png

"Targeting Therapeutically Viable Protein-Protein Interactions: Applications in Neurodegeneration and Oncology"
Dr. Maurizio Pellecchia, PhD, Professor of Biomedical Sciences at the School of Medicine of the University of California Riverside (UCR)

UCRのキャンパスリードを務める、Maurizio Pellecchia先生より、治療に有用なタンパク質間相互作用(Protein-Protein Interactions:PPIs、以下PPIs)の実際の治療への応用についてお話しいただきました。
タンパク質間相互作用(PPIs)とは、生体内で異なるタンパク質分子が状態に応じて複合体を形成する現象のことを指します。タンパク質には、単体で機能するタンパク質もありますが、多くのタンパク質は他のタンパク質と相互作用することでその機能を果たします。
PPIsを標的とする際、ペプチド模倣物は阻害剤として治療薬に効果がある点、受容体に対するリガンドにも多様な形があることや、結合部位に結合することでシグナルを生成することをご紹介いただきました。

julia.png

"Discovery of approved drugs synergistic with remdesivir for COVID-19"
Dr. Julia Schaletzky, PhD, Founder of the UCB Drug Discovery Center, the Executive Director of the Center for Emerging and Neglected Diseases, as well as of the Immunotherapy and Vaccine Research Initiative at UC Berkeley

UCバークレー校のキャンパスリードを務めるJulia Schaletzky先生は、COVID-19の治療薬を探す際に、既存薬のドラッグリポジショニングが、有効な手段ではないかと考え、バイオセーフティレベル3の実験室で新型コロナウイルスの活動を阻害できるような薬剤発見に向けた研究を行なっているとのことです。
既存薬であるレムデシビルの有効性を強化できないかと考えたことがきっかけであり、単独では薬効がない場合でも、レムデシビルとの併用によりシナジー効果が見いだせるものを探すという方法で研究は進められたとご紹介いただきました。
具体的には、低濃度のレムデシビルで試験を行ない、承認薬を追加した際の反応を確認したとご紹介いただきました。
ご講演の詳細はアーカイブをご覧ください。

panel.png

講演の後には活発なパネルディスカッションが行われました。


イベントにご参加の皆様、ご登壇者の皆様、誠にありがとうございました。
なお、今回のプレゼンテーションについては、LINK-JのYouTubeチャンネル にて録画をご視聴いただけますので、是非ご覧ください。
なお、一部公開されていない講演がございますこと、一定期間経過後に非公開に変更させていただく可能性がございますことを予めご了承ください。
ぜひYouTubeチャンネルへのご登録もお願いいたします。
今後もUC San Diegoとの共催ウェビナーを継続的に開催する予定です。
皆様ぜひご参加ください。

pagetop