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イベントレポート

シンポジウム「21世紀の医療とテクノロジーの展望」を開催(3/31)

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LINK-Jは2018年3月31日(土)に日本橋ライフサイエンスビルディングにて「21世紀の医療とテクノロジーの展望」シンポジウムを共催いたしました。本シンポジウムは、世界の科学者を巻き込んだ様々な角度からの活発な議論を行う機会としてUCLAジャパンセンターがUCLAと日本との懸け橋となることを目的として開催されたものです。

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冒頭には黒川清先生(東京大学名誉教授)による特別講演が行われ、前半は「テクノロジー」をテーマとした国内外の4名の方による講演、後半は「医療のチャレンジ」「科学政策、産業化、イノベーション」をテーマとした発表として、6名の先生方にご講演いただきました。
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特別講演
黒川清先生は近年の科学技術研究論文の分析結果を示され、先進国の中で日本発の論文数が減少し、中国の論文数が上昇傾向にあることを説明されました。日本の科学技術力を向上させるにはどのような方法が考えられるか、様々な社会的課題を取り上げられました。

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黒川 清先生 東京大学名誉教授、政策研究大学院大学名誉教授、日本学術会議会長(平成15-18)

テクノロジー
Dino Di Carlo氏は、「Quantum Diagnostics-From Single-cells to Single-molecules」と題し、血中循環腫瘍細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)を検出するVortex技術を用いた研究内容を発表されました。合田圭介先生は、脳梗塞の予防診断を目的とした血小板凝集塊を検出するマイクロ流体チップを使用した流体分析技術についてご説明されました。中村教泰先生からは、「ナノメディシン」というナノ材料を医療に応用する研究の取り組みとして、新しいナノ粒子によるマクロファージへの結合方法でイメージングと診断に応用した例などを紹介されました。

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左から、Dino Di Carlo氏、合田 圭介先生、中村 教泰先生

医療のチャレンジ
玉野井冬彦先生は、Precision Medicineを目的としたがん治療の方法として、鶏卵にがん細胞移植を行うPDCモデル(Patient-Derived Tumor Chicken model)を提唱されました。さらに、ナノ治療の例として、低分子抗がん剤の副作用問題を解決する方法の一つとして、ナノ粒子の使用が非常に重要であるとされました。
三谷幸之介先生からはゲノムの医療への応用例として、遺伝子治療やCAR-T療法を挙げられ、中でもゲノム編集技術の臨床への応用例と安全性について今後の課題について述べられました。浅井義之先生は情報科学の面からの個別化医療について語られました。遺伝子ネットワークを比較し、どの部分を変化させることで健康に戻せるか、データ量やクオリティの問題を判別できるAIの必要性などを提唱されました。

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左から、玉野井 冬彦先生、三谷 幸之介先生、浅井 義之先生

科学政策、産業化、イノベーション
曽根純一氏よりCRDS(研究開発戦略センター)の立場からナノテクノロジーやAI、IoTといった技術、バイオマテリアルに関するアウトラインを説明されました。中冨一郎氏は、ナノキャリア株式会社のビジョンと研究開発されたナノバイオ製品に関する技術について紹介されました。
村井勝氏は、TEP(TXアントレプレナーパートナーズ)の取り組みとして、ベンチャー企業の効率的な育成のため、つくばエクスプレス(TX)沿線の大学や研究機関を中心としたコミュニティの形成を目的としていることを述べられました。今後成功事例を作り、日本中に広めていきたいとしました。

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左から、曽根 純一氏、中冨 一郎氏、村井 勝氏

講演後は登壇者と参加者によるレセプションが同会場で開催されました。玉野井先生は「学会や研究会などとは違う横断的な集まりになった」とコメントされ、医療という課題に対する多角的視点を持った科学技術が俯瞰できるシンポジウムとなりました。

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