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イベントレポート

「医療系ベンチャー エコシステムの 構築・進化に向けて in 京都」を開催(8/1)

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医療系ベンチャーの育成と日本におけるエコシステム構築に向けて、現状や問題、課題解決に向けた議論を行いました。
本イベントは、KRP WEEK2018のライフサイエンス分野の3日間「Life-tech 3days」の中で、「イノベーションの創出と交流の場」を目的に京都リサーチパーク4号館のバズホールにて8月1日に開催したものです。当日は、100名もの方にご参加いただきまして、産官学が交流する機会となりました。

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最初に、厚生労働省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室長の飯村康夫氏より、「厚生労働省における医療系ベンチャー支援について」と題してご講演をいただきました。
医療系ベンチャー企業の振興方策について、3つの柱を掲げており、医療機器や医薬品の早期承認制度の導入などの「エコシステムを醸成する制度づくり」、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミットや、ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)などの「エコシステムを構成する人材育成と交流の場づくり」、医政局経済課にベンチャー等支援戦略室の設置や、PMDAへ調整役を配置するなどの「オール厚労省でのベンチャー支援体制」についてご説明いただきました。
今年の10月に開催される「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット」(BioJapan内)では、昨年よりも1.5倍のスペースで80社ほどのベンチャー等を誘致する予定だと述べられました。

また、MEDISO事業では、各専門知識を持つサポーターからのアドバイスが無料で受けられる体制を2018年2月から整備し、研究開発のあらゆるステージで、法規制や薬価制度、人材や資金面などの多様な相談が可能となりました。今後は、知財や市場性の調査などに関するサポートを強化するそうで、シーズ等の公開、マッチングの機会を増やしていくと、解説されました。さらに、臨床研究や治験の場づくりとして、臨床研究中核病院を12病院承認し、ベンチャーを支援するような仕組みを整備していると述べられました。

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次に、パネルディスカッションでは、厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会の座長を務めている本荘氏がモデレーターとなり、下記5名の登壇者が自己紹介を含めた「エコシステム構築」に向けた議論を展開しました。

【登壇者】
飯村康夫(厚生労働省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室長)
池浦義典(Axcelead Drug Discovery Partners(株)代表取締役社長)
進照夫(株式会社aceRNA Technologies 代表取締役)
隅田剣生(株式会社産学連携研究所 代表取締役)
曽山明彦(LINK-J理事兼事務局長)

【モデレーター】
本荘修二(多摩大学客員教授、厚生労働省医療系ベンチャー振興推進会議座長)

【議論された主なテーマ】
・ エコシステム構築への問題意識について
・ 人材面の問題提起や解決方法について
・ 大学発ベンチャーに関する課題について

交流・連携、育成・支援を掲げているLINK-J事務局長の曽山氏からは、エコシステム構築に向けて「産学官の各プレーヤーの立場や強みを活かして役割分担していくのが大事」であると述べられました。ベンチャー企業に対して、公共的にプロジェクトベースで資金を援助することや、50代からのベンチャー起業に対しても支援できるとよいなど、欧米との比較を含めてアイディアを出されました。また、人とのつながりであるネットワークの重要性を強調されました。

民間の産学連携本部として、関西を基盤に事業モデルを構築している隅田氏からは、地域での協業と連携、事業の持続性についての重要性が述べられました。ベンチャー人材という面では、「積極的な方」と「協力して進めていきたいという方」の2パターンあると分析され、ベンチャーの不安要素に対して払拭できれば、人の流動性も上がるのではと意見されました。また、大学発ベンチャーの場合は大学によって規定が異なるため、制度に応じて対応していると述べられました。

RNAスイッチによりタンパク質発現の制御を行う技術を基盤としているaceRNA(アセルナ)代表の進氏からは、バイオベンチャーの経営者人材が不足している問題に対し、大学シーズを中心にチームを構築していくことで経営者が見つかっていくのではと述べられました。大学発ベンチャーを創出するにあたる大学支援体制やプロセスへの課題などが挙げられました。ECC-i-CAPの第1号として設立した会社として、今後京都大学発ベンチャーを経営する人の役に立てることができればと語られました。

武田薬品工業株式会社からスピンアウトしたAxcelead社の代表であり、日本製薬工業協会(製薬協)の研究開発委員会の副委員長も担当されている池浦氏からは、「武田のノウハウや技術を外部の人に積極的に提供し、エコシステム構築のために支援していきたい」、とミッションを述べられました。経営人材の話題では「アントレプレナー」と「会社経営」が一緒に議論されていることに問題あるとされ、前者はアイディアとパッションを持ったマインドセットの部分が大きいのに対し、後者は経営ノウハウなどのスキルの問題であり、それぞれ異なった対策が必要であろう。特に経営ノウハウについては制度・仕組みの面から後押しすることができるとの意見を述べられました。また、製薬協では産学連携に対してどうサポートしていくかという議論をしており、「アカデミアへ期待は極めて大きい」とされました。大学と企業とのすり合わせがうまくいかないといった場合においても、足りない部分をサポートしていきたいと語られました。

厚生労働省の飯村氏からは、「大学での知財に関する認識度が不足している」という話題に対して、MEDISOを是非活用していただきたいとPRされました。産学連携に対しては、非常に重要であり、AMEDでも産学連携に関するプロジェクトは優先的にサポートをしている事業があること、研究者や大学の先生方にも知財への理解を深めるように努めていると述べられました。交流やネットワークへの重要性に対し、人材マッチングの構想について今後、MEDISOでも人材バンクのような仕組みができたらと抱負を述べられました。

会場からは若手がベンチャーへ転職する場合にどのような能力、技術を期待しますかといった質問が挙げられ、登壇者から大企業からベンチャーへ転職した方へアドバイスとエールが送られました。

最後は、株式会社三菱総合研究所 科学・安全事業本部 産業イノベーション戦略グループ グループリーダーの岡田光浩氏より「出前相談会と新規サポーターの募集」について、MEDISO事務局として、相談のプロセスや、同日に開催されていた「MEDISO出前相談会」の紹介を行いました。

閉会後も参加者や登壇者との名刺交換が行われ、積極的にネットワークにつなげるための交流を行う姿が見られました。

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