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イベントレポート

「LINK-J×東北大学ネットワーキング・ナイト 次世代放射光の可視化がライフサイエンスを革新する」を開催(6/21)

6月21日、日本橋ライフサイエンスハブにて「LINK-J×東北大学ネットワーキング・ナイト 次世代放射光の可視化がライフサイエンスを革新する」を開催しました。
本イベントは、ネットワーキング・ナイト「健康調査情報から始まる未来の医療と健康~東北大学 東北メディカル・メガバンク機構~(11/30開催)」「東北大学が推進するオープンイノベーションイニシアティブ(2/13開催)」、また、「東北大学連携視察ツアー(5/17開催)」に次ぐ、東北大学シリーズ第4弾となります。
今回は、2023年に運用開始を目指して計画されている、次世代放射光施設の概要および放射光を用いた創薬や医療への応用例として、実際に放射光を使った研究例などをご紹介頂きました。

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【登壇者】
早坂 忠裕 氏 東北大学 理事・副学長
高田 昌樹 氏 東北大学 総長特別補佐、一般財団法人光科学イノベーションセンター 理事長
原田 慈久 氏 東京大学物性研究所 教授、東北大学多元物質科学研究所 客員教授
八木 直人 氏 公益財団法人 高輝度光科学研究センター(JASRI) 特別研究員

次世代放射光施設計画 東北大学の取り組み
東北大学の理事・副学長である早坂氏より、ご挨拶頂き、次世代放射光施設計画と東北大学のビジョンと役割についてお話頂きました。東北大学では、産学連携による積極的な学術研究を目指し、次世代放射光施設利用推進委員会を中心とした、連携体制の構築と国際連携を開始していることをご説明いただきました。

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早坂 忠裕 氏 (東北大学 理事・副学長)

創薬から医療までカバーする施設計画
光科学イノベーションセンターの高田氏からは、次世代放射光施設のコンセプトと、想定される利用分野についてご講演頂きました。

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高田 昌樹 氏(東北大学 総長特別補佐、光科学イノベーションセンター 理事長)

放射光とは超高輝度のX線のことで、放射光技術は世界中で様々な企業が利活用しています。新設する次世代放射光施設では、既存施設の100倍以上の性能を目指しており、理化学研究所の大型放射光施設SPring-8やSACLAでの経験を活かして、放射光(軟X線)の輝度では世界トップクラスの施設を目指しています。RtU(Ready to Use)コンセプトによるビームライン建設を行っており、計測機器の共通化、計測や解析の自動化を実現します。医療・創薬研究の分野では、タンパク質の結晶構造解析を代表とする立体構造に基づく創薬や、散乱やイメージングなどによる溶液サンプルの評価やナノテクノロジーへの応用など、多岐に渡る利用分野への活用が考えられます。
企業の放射光利用のバリアフリー化を提案し、企業ユーザーと研究者との1対1の連携も実現していきたいと述べられました。

次世代放射光でわかる水の役割
東京大学物性研究所の原田先生からは、「水」という身近な物質の不思議と水分子の放射光を用いた最先端の研究内容についてご解説頂きました。

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原田 慈久 氏(東京大学物性研究所 教授、東北大学多元物質科学研究所 客員教授)

水はこれまで均一な分子として「塗りつぶされた媒体」として扱われてきました。よって水研究の歴史は最先端の分光・分析の歴史と同期してきたともいえます。小角散乱とX線回折によって水分子が1nm程度のミクロな不均一性があることが発見されていました。水の価電子状態を直接観察し、分解能を上げていくことによって、不均一性を確認することが可能となったと解説されました。また、アルコールの旨味に関する示唆や、汚れの付着問題など、水分子研究の応用例を紹介されました。水とエタノールの混合溶液を分析した結果では、超音波をかけて混ぜることによるアルコールの旨味への影響に関して示唆をされ、会場を沸かしました。

医学系研究への放射光利活用のフロンティア
高輝度光科学研究センター(JASRI)の八木氏からは、SPring-8で行われている医療系分野での利用例について、実際の分析結果を交えながらご紹介頂きました。

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八木 直人 氏(公益財団法人 高輝度光科学研究センター(JASRI) 特別研究員)

SPring-8のビームラインは現在、57本が稼働されており、利用分野や手法ごとに使い分けられ、かつ同時に利用することが可能となっています。物質にX線を当てることで起きる散乱や回折、分光やイメージングで物質の性質を分析します。タンパク質のX線解析では、自動化によって短時間で測定できることがメリットとして挙げられました。X線のイメージングでは、放射光CTにより通常のCTよりも空間分解能・密度分解能の高い画像が得られるという特長を述べられました。分解能の高さによって、マウス胎児の内臓組織を染色無しで観察できる例や、肺組織の観察に関して、空気の導入を詳細に観察できる例などをご説明頂きました。

当日は約60名の方にお越し頂き、懇親会では大学の関係者をはじめ、エネルギー・工学分野の産業・研究に関わる方、企業で新規事業開発を担当されている方など多くの皆様にご参加いただきました。参加者からは「身近な例により、施設の価値がよく分かった」「医療応用への可能性が高いことがよく分かった」「専門分野が近い方との交流が深まった」「完成を楽しみにしている」といったご意見・ご感想を頂きました。

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